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netによるキャリア探索のヒント

最近「派遣切り」「長期失業」等が社会問題化しており、「期間限定の派遣や契約社員から、安定した正社員になりたい、という相談が非常に多いが、どう支援すればいいのか、自分がやっていることでいいのか、自信がなく困っている」というキャリア支援者からの相談を頂きます。
基本的にはこのキャリア研修センターは、個人に対しては、みなさんのまわりのマネジャーや人事スタッフ、人材サービスの方等のキャリア支援力が向上することを通じて、みなさんがキャリアを考えるサポートをするという間接的支援をベースに考えていますが、共通したテーマについては、少しずつネットでもキャリア探索のヒントをアップしていきたいと思っています。
まず第一回目として、
「将来の安定のために、派遣社員から正社員になりたい」

という方へ、私なりのキャリア探索のヒントを提供したいと思います。
このような相談をされる多くの方が、
「派遣は35歳まで(40歳まで)と聞くが、その後自分はどうなるのか不安」
「今はいいけど40,50になると仕事がなくなって生活できなくなるのではないかと不安」
「派遣から正社員になんてどうせならないのではないか?(自分は努力しても派遣から変われないのでという不安)」
という不安や漠然とした焦り、社会に対する怒りを感じていらっしゃいます。
最近「派遣という雇用形態自体がよくない」という意見も出ているようですが、私自身は「転勤しなくていい」「働く地域を選べる」「仕事(職種)を自分で選べる」「時間を限定して働ける」等、自分の条件に合わせて働ける「多様な働き方が選べる」システムは非常に価値があると考えています。
しかし、上記のような「不安」を持たれているのも事実。
まずは、「印象」や「噂」ではなく、データをベースに「事実」を把握するところから始めたいと思います。
@「派遣は35歳まで(40歳まで)は本当か?
まず(少し古いですが)平成16年「派遣労働者実態調査」(厚生労働省) 第1-1表から、派遣社員の年齢階層別比率を見てみます。

参考:平成16年「派遣労働者実態調査」 第1-1表(厚生労働省)
これを見ると、確かに派遣社員の比率は25-29歳、20-34歳がピークで、35以上は大きく比率が下がっています。
35歳、あるいは40歳で派遣の仕事は減る、という事実が窺われます。
ただ、「ない」ではありません。女性を例に言うと、30-34歳が27.7%に対し、35-39歳は14.2%。半分以上は継続している。
40-44歳が8.6%。30-34歳の約1/3が継続しているレベルの数字になる。
ここからは私の推測ですが、企業の管理職昇進が30歳前後から始まるので、雇用する企業のマネジャーから考えると、「能力が同じであれば年下の方がマネジメントしやすい」ということがあるので、「誰でも同じことができる仕事だ」というお願いしている仕事を認識すると、、若いスタッフへの切り替えが進むのだと思います。
一方で、スキルが高い、コミュニケーションが取りやすいスタッフであれば、一から教えるよりも分かっている人の方がいいので、継続してほしい、というモードになるでしょう。
「派遣は35歳あるいは40歳まで」という噂は、ある意味雇用先の管理職との年齢逆転をカバーするだけの「スキル」や「コミュニケーション」等を含めた「付加価値」を提供できれば乗り越えることができそうだけれど、「誰でも同じ仕事」(顔が見えない仕事)だと備えておかなければならない危機のようです。
ちなみに、ローデーターを見ていくと、事業所規模が500人以上だと派遣社員の平均年齢が32.7歳に対し、30-99人だと37.1歳と、小さな事業所の方が長く派遣で働ける。
一般事務の平均年齢が33.2歳に対し、「インテリアコーディネーター」の派遣は平均年齢46.2歳で、専門性があれば長く働ける。
また「建築物清掃」の派遣は平均年齢49.0歳と、業務領域によっては50代60代も働けています。
A派遣の仕事がなくなると仕事がないのか?
先ほどのデータで、35歳あるいは40歳で確かに派遣の仕事は減っているという実態が分かりました。
では、派遣で仕事がなくなると仕事が手に入らないのか?
派遣以外にも、契約社員やパート等の非正規雇用の働き方があります。
次は非正規労働者の数が年齢でどう変化するのかを確認したいと思います。

参考:平成19年労働力調査年報 第2表(総務庁 統計局ホームページ)
上記は総務庁の労働力調査のから作成しました。
派遣の数字にあった35歳からの大幅な数の減少はここでは見られず、ほぼ64歳まで、非正規労働者のマーケットはある、ということです。
多分、派遣に比べ、条件面は悪くなっているのかもしれませんが「仕事がない」という状況になる訳ではなさそうです。
B派遣から正社員になれるのか?
では、派遣からあるいは契約社員やパートから正社員になれるのでしょうか?
これも総務庁の労働力調査から実数を見てみたいと思います。

第9表 現職の雇用形態,前職の雇用形態別転職者数(平成19年分)
前職の雇用形態
現職の雇用形態 役員を除く
雇用者
正規の
職員・
従業員
パート・
アルバイト
派遣社員,  その他
男女計 役員を除く雇用者 308 129 134 46
 正規の職員・従業員  127 87 28 12
 パート・アルバイト 118 21 89 9
 派遣社員,契約社員・嘱託,その他 63 22 17 25
役員を除く雇用者 146 86 40 21
 正規の職員・従業員 82 64 11 7
 パート・アルバイト 34 9 22 3
 派遣社員,契約社員・嘱託,その他 30 14 6 10
役員を除く雇用者 162 43 94 25
 正規の職員・従業員 45 23 17 5
 パート・アルバイト 84 12 67 6
 派遣社員,契約社員・嘱託,その他 32 9 10 12
(注)転職者とは就業者のうち前職のある者で,過去1年間に離職を経験した者

参考:平成19年労働力調査年報 第9表(総務庁 統計局ホームページ)
このデータ(前職があって、過去1年に転職した人)で見ると、過去1年転職で「正社員」になった127万人のうち、40万人(28万人+12万人)がパート・アルバイト・派遣社員・その他の「非正規労働者」だっと、ということです。
正社員に転職した人の31.5%が非正規労働者から正社員になっている。
女性に限ってみると、正社員に転職する人の約半分が非正規労働者から。
この数時を見る限り「正社員になれない」というのは誤りで、非正規労働者から正社員になれる可能性は十分ある。
一方で、この表を見ていると、以前正社員だった人が非正規労働者になっていることも分かる。
表を見ると、非正規労働者から40万人が正社員になっているのに対し、正社員43万人が非正規労働者になっている。
要するに、約40万人の入れ替え戦が行われているということ。
日本は正社員が国際的にも優遇されている、と言われているのですが、どうも「正社員になれば安心」という訳ではないようです。
C将来の日本社会を予測する
上記で、正社員になったからと言っても入れ替え戦がある、という実態を指摘しました。
そうは言っても、日本は正社員にやさしく、正社員が守られている、というのは客観的事実だと思います。
しかし、それがいつまで続くかは??
既にこれまでにもOECDから「日本は正社員を優遇しており、非正規労働者との差を小さくするように」と勧告されています。
国際ルールでは「同じ仕事をしていれば雇用形態に関わりなく対価は同じ」なのですが、日本では給与・教育・福利厚生含めほとんどの会社が正社員の方が大幅に有利になっている。
しかし、それは今の話。OECDの勧告や国際競争を考えると、10年単位だと世界ルールにどうしても近づいてしまう。
正社員と非正規労働者の差を小さくする、というのは、理想的には非正規労働者に条件が正社員並みになることですが、コスト的にも国際競争の実態を考えても条件底上げが実現するとは思えない。つまり、正社員の条件が非正規労働者に近づいてくる、ということです。
映画や小説等で何となく感じていらっしゃると思いますが、アメリカの「正社員」は日本の「契約社員」と非常に近い。会社の収益が規模しくなればリストラされるし、毎年契約更新があるかドキドキしながら過ごしている。
日本でも給与については新しい制度の導入が始まっています。年功序列ではなく、成果主義。更に、ミッショングレード等「会社にとってどういう価値があることをやっているかで給与を決める」という、仕事価値と給与のつながりを強くした制度が増えてきています。
この考え方であれば、国際ルールの「同じ仕事をやれば同じ給与」に限りなく近づく。
価値が高い仕事であれば正社員も契約社員も関係なく給与が高いし、派遣社員と同じ仕事をしていれば正社員であっても派遣社員と給与は同じ。正社員の方が、過去の歴史的背景の中、解雇されにくい、という仕組みに変わっていく。
みなさんが「将来の安定」と思っている「将来」が何年後かにもよりますが、10年20年後の将来であれば、「正社員」が「安定」の条件ではありません。
「正社員」は安定の1つの方法であり、あるいは1つのステップでしかないのです。
マクロ視点で言うと、2007年以降日本の労働力は減少し、労働者が足りない時代になっていきます(現在は急速な景気減退で雇用が減っていて見立ちませんが、景気は循環するものですし、女性活用・高齢者活用をしなければ労働力が不足する時代が近づいています)。
仕事はあるが、その仕事をやるだけの「スキル」を自分が満たしているか、が問題になります。
要するに、派遣社員・正社員関係なく、「自らを高め続けなければ安定できない」という時代になっていく、ということです。
過去の貢献や過去の雇用形態など関係なく「どんな価値を提供できるか?」が問われる社会。
別に学歴高くてや英語や数学ができないとダメ、と言っているつもりはありません。
ハイパフォーマーが仕事をしやすいように、仕事の段取りを準備してくれ、気持ちよく働ける環境を作ってくれる人も、当然ながら価値が高いわけです。自分が企業の価値向上に対し、何かの切り口で「この人だから」と言われる価値を提供できることが大切。
スキルを付けていくのもひとつの方法ですし、コミュニケーションで価値提供するや、あるいは、人が嫌がることを取り込むことで価値提供する方法もあります。
あるいは、同じ与えられた仕事だけれど、他人よりも早くできる・多くできる、というのも明確な価値です。
D雇用される力を高めるために
課題は「派遣」の本来の仕事の括り。企業にとって、「派遣」は「定型業務」であり、「やり方が決まっているもの」であり、「誰でもできる」という位置づけで運用しているケースがほとんどだと思います。非定型でやり方が決まっていないものは正社員がやらないといけない。
つまり、本来の仕事括りの「派遣」の働き方、というのは、「定型の仕事を言われたようにきちんと仕上げる」というものです。
実はこれだと、企業が正社員に求めるだけの仕事の能力がなかなか高まらない。
自ら考え(Plan)、実行し(Do)、結果を振り返り(Check)、改善策を考える(Act)という、PDCAプロセスを繰り返すことで、自立創造の力が高まっていく。
本来の派遣の業務範囲ではないし、やったからといって直接給与に反映される訳ではないけれど、正社員のような視点で全体を考え、課題を発見し、提案し、修正していくという、枠を超えた働き方をすることで、仕事の能力は高まっていく。
言われた仕事をその通りやれば慣れれば後は楽になるのだけれど、そこでとどまるのではなく、業務のやり方変えて効率化できないか、自分がやっている仕事を他の部署でも使えないか、別の仕事と連動できないか、等もう一段深く仕事の意味を考えて実行する。
派遣業務が終わって時間のゆとりができた時、正社員がやっている仕事で取り込める仕事があれば取り込んで自分の経験を広げる。
能力を高める、という意味もありますが、実は企業というのは、本質的に「実績」に対して評価するのです。
つまり、「正社員にしたから正社員の仕事をするだろう」と考えるのではなく、「正社員のクオリティの行動をとっているから正社員にする」。
まず先に正社員並みの行動・実績をしない限りは正社員になかなかなれない。
ここでいう「正社員」も、みなさんは「正社員のできない人より自分が」と考えがちですが、採用するサイドは下のクラスの社員と比較は絶対にしない。派遣という形態のいいところは、正社員では一緒に働けなかったようなできるビジネスマンと同じ職場になれる可能性があること。
派遣社員で小さなグループを作るのではなく、できる社員をモデルに仕事の仕方を盗んでください。
企業の人事と話をすると、できる派遣や契約社員を正社員にしている、という企業はけっこうあります。
(ただし、そういう企業は成長企業の事例で、成長が停滞しているような企業ではあまり派遣社員の正社員化は進んでいません)
派遣から正社員に転職したい、という際、多くの企業の採用担当からすると、「派遣」=「与えられた仕事しかしない」という先入観があります。
短時間の面談で自分が正社員で採用し、配属企業から「言われたことしかしない」とクレームが来ることを考えると、「確かにこの人はPDCAを回している」という自信がなければなかなか社員に採用する自信を持てません。
みなさんは、如何に自分が問題を見つけ行動したか、失敗から学び次に何を改善したのか、具体的に話すことが正社員になるためには必要です。アピールする力も必要。

「自らを高め続けることが、将来安定する為の方法だ」というのが私の考えです。
別に正社員にならなくても、これを実現できれば、派遣社員でも契約社員でも十分安定して食べていけます。
E資格取得は役に立つのか?
「正社員になるには資格」ということを考えるかもしれませんが、資格即正社員、というのは、看護師や薬剤師のような免許等の参入条件があるもに以外はほとんどありません。資格に過剰な期待をしてはいけません。
企業は「資格」を持っているでは足りなくて、「何を実践し、それを自分の企業で再現できるか」を見ています。
しかし、「資格を取る」という行為で証明できていることもあります。
「口だけでなく自ら動く人間である」「自分の課題を考え、その為の対処行動を自ら取れる人間である」という、自立の基本的な部分で「やるじゃない」と感じます。これまでの派遣業務や派遣実績でPDCAを証明することが難しい人は、資格を取ることでその一部を証明することができます。何もやらない人よりも、頭一歩抜け出すことができる訳です。
資格についてはリクナビNextに記事を書いているので参考にしてください。
Fでは何から手をつけるか?
マクロの状況を見ると、えり好みをしなければ(日本人が嫌がってやってくれない仕事が増えてきている)ほとんどの人は何かしら仕事はあるし、生活をダイエットすれば生きていけるのが今後の日本だと思います(それでもダメな人には生活保護のセイフティネットもある)。
その意味では、努力はしないけれどお金を使わない生活をするのか、ありたい自分に近づく為に努力をし続けるかの、自ら選ぶ必要があります
あたなは、「自らを高めて安定する」のと「安価な生活で安定する」のと、どちらが好きですか?
「自らを高め続ける」という行為は、自分が嫌いなことだとなかなか継続できません。命令されてやっても長続きはしません。
1度しかない人生ならば、頑張るのならば自分が好きな領域・得意な領域を選んだ方がいいと私は考えています。
まずは「自己理解」や「自分の理想のキャリア」あるいは「自分が大切にするもの」等をしっかりと考えた方がいいと思います。
そこに近づく可能性を高める為に、やれることは何かないでしょうか?あるならやってみましょう。
自分が楽しめる仕事を手に入れる為には周りとの信頼関係が重要です。
「魅力的な仕儀とを手に入れるには」という原稿を以前に私が書いているので興味ある方は読んでみてください。
自分らしいキャリア構築を手助けしてくれる「キャリアカウンセラー」「キャリアコンサルタント」という専門職が今増えてます。
そういう専門職のサポートをもらうのも一つの方法です。
大手派遣会社の中ではスタッフ向けにキャリア支援をする会社もでてきていますし、ハローワークでもそういうサービスを(小規模ですが)始めています。
まずは自分から小さくてもいいので何か動いてみる。じっとしていても他人は何もしてくれません。
PDCAの学習で言うと、「失敗ことが改善の鍵」なのです。動き、失敗し、学び、よりよい行動を考え、また実行してみてください。

みなさんが今後のキャリア探索のヒントになれば、と思い書いてみました。
長文になり大変失礼致しました。
何かの参考になれば嬉しく思います。
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